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「3歳児神話って?(2)」3歳まで母親が子育てをできないとしたら


 

【母親が子どもに愛情を伝える手段は一つではない】

 

私は息子が0歳児、専業主婦の時に、自分の母親としての未熟さに嫌気が差して、

私が子どもとずっと一緒にいることはお互いにとって良くないことだと、母親としての自信をなくしてしまいました。

 

母親が子どもとずっと一緒にいることだけがいいことなのかどうか。ただそばにいればいいという単純なものではないはずです。

 

愛情表現の仕方は人それぞれ違っていいと思います。母親自身の表現の仕方もそうですが、子どもによって受け取り方も違います。

お母さんが働くことが子どもにとってさみしいかどうかは、子どもがどう感じているかということなので、周囲が決めることではないですね。

 

実際に「自分が子どもの頃に母親が働いていてさみしかったから、自分は子どものそばにいてあげたい」という人もいれば、

「働いている母親が好きだったので自分もそうなりたい」という人もいます。

 

子どもの意思が分からないうちは【お母さん自身が自分に自信を持てる】ことが大切だと思います。

自分が子育てをしてきて、私の本心を子どもは感じ取ってしまうんだなぁと実感しているからです。

 

お母さんが、または周囲の人が「かわいそう」と思っているとそれが言動に現れるために、子どもが「自分はかわいそう」と思ってしまうのではないでしょうか。

 

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【たくさんの人から愛されているということを伝える】

 

そしてもう一つ。必ずしも母親だけの愛情を伝えることが子どもの育ちに必要なことかという疑問があります。

 

私は息子が泣いて嫌がっても、0歳から一時保育に預けることに後ろめたさはありませんでした。

それは自分に母親としての自信がなかったからというのもありますが、

社会にはさまざまな考え方の人がいるのは当然のことで、自分の価値観だけが子どもにとって正しいことだと思えなかったからです。

 

幼少期の子どもが育っていく環境、家庭や地域は、子どもが大人になってからの大きな社会の縮図です。

地域には保育士さんなど子育て支援などで子どもと関わってもらえる大人はたくさんいます。

小さいうちからさまざまな考え方の多くの大人に接することを、私は「飛び級」と言っています。

 

子どもは虐待をする母親のことも大好きだと聞いたことがあります。

どんな母親のことも愛してしまう子どもからみたら、子どもにとって母親から受ける愛情は当たり前なのかも知れません。

それならば、母親だけではなくたくさんの人の愛情に触れた方がいいのではないでしょうか。

 

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今、社会環境が大きく変化をしている中で、今までの社会によって作り上げられた母親像では、女性に求められていることが多すぎます。

 

そもそも、子どもを保育園に入園させるために0歳児、1歳児から社会復帰したり、育休はできるだけ短い方がいいと思っている人が、

「子どもが3歳まではお母さんが1人で育てる」ということができるかと言えば、分身する以外には不可能ですよね。

私から見れば、母親は分身しなさいと言われているのと同じことです。分身なんてできるわけありません。

 

子どもが小さいうちは自分の手で育てたいとか、子どもとできるだけそばにいたいと思う人、そしてそれができる人はそれで良いのですが、

家事も子育ても仕事も、全てを1人で完璧にやらなければいけないと思っている人がいたら、妻や母親の役割の認識を変えましょう。

 

それが子どもにとってもいいことだと信じています。

 

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両立キャリアスクール 田頭あやこ