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「夫と意見が合わないという家庭の処方箋(2)」対立は悪いことじゃない


 

 

意見が合わない時にどうしても避けられない対立というのが、お互いを尊重するということに対してどういう意味を持つのでしょうか。

 

対立とはコンフリクトと呼ばれます。心理学者のトーマス、キルマン(1976年)が提唱した対立の解決策が5つあるのでご紹介します。

これは2つの軸でどのような対立の解消がされるかというもの。自分の場合はどうか考えてみましょう。

 

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まずその対立の解決策には、競争、和解、回避、妥協、協調の5つがあります。

そして2つの軸とは、自分の自己主張性が強いかどうか、そして協力性が高いかどうかです。

 

●自己主張性とは、どれくらい自分のことを満足させたいか。

●協力性とは、どれくらい相手を満足させたいか。

ということです。

 

5つの解決策はこうなります。

(1) 競争:自己主張性が強く、協力性がが低い

(2) 和解:自己主張性が弱く、協力性がが高い

(3) 回避:自己主張性が弱く、協力性がも低い

(4) 妥協:自己主張性が中くらい、協力性も中くらい

(5) 協力:自己主張性が強く、協力性も高い

 

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【妻だから、母親だからと自分を主張できない女性が多い】

 

自分がどれに当てはまるか想像はできましたか?

 

家庭内の女性に多いのは、自己主張性の弱い (2)和解、または (3)回避です。

 

夫に従い自分の意見を主張せずに押し殺してしまうのが (2)和解です。和解ではなく服従という言葉が近いこともあるのではないでしょうか。

そして、そもそも対立を避けてしまっている状態が (3)回避です。

(3)回避は問題を先送りにしてしまっているだけ、そして円満な家庭生活自体をあきらめてしまっている場合もあるかも知れません。

 

そして、和解、回避のいずれも、自分のことより夫や子どものことを優先してしまうあまり、

例えば、本当はもっと仕事をしたいけど両立することができない場合や、自分の時間がないなど、自分のことを大切にしてないことが多いと思います。

 

自己主張性が弱い、自分の主張を閉じ込めることは、妻や母親は家庭を守らなければならない。と思っている人にとってはいいことのようにみえます。

しかし、お母さんがガマンしていることを子どもが知ったらどう思うでしょうか。

 

 

お互いを尊重する関係性を築くためには、(5)協力 というのがいい解決策といえます。

 

対立を解決するために必要なことは、自分のことも大切にする、自分の主張もきちんとすることです。

そしてお互いが満足できる結果を一緒に考えることにあります。一緒に考えるために避けられないのは話し合うということですね。

 

意見の違う人と話し合う過程には(そんなことを考えてたんだ!)とか、(そんな考え方もあるのね。)など、自分には気づけなかったさまざまな発見があります。

「そもそも人はみんな違った価値観、考え方を持っている」という前提を持つことが大切です。

 

意見が合わない人と対立をした時に必要なことは、対話をするためのコミュニケーション力です。

「私はこうしたいから、こうして!」という一方的な自己主張をしていては、(5)協力 という解決策を得られません。

 

これからの社会、家庭内はもちろん、地域や職場、さまざまな場面で、意見の違う人とどうコミュニケーションをとるかということは全ての方の不安材料だと思います。

 

 

ベーシックを受講された方から「これからの社会を生き抜く子どもに伝えたい必須スキルですね。」という感想をいただき、私自身が気づかされました。

ありがとうございます。

 

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両立キャリアスクール 田頭あやこ