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ママ友に家庭のことを話せない2つの理由(1)


 

 

家庭のことを相談し合ったり、自分の本音を話せるママ友はいるでしょうか?

 

子どものことはたくさん話しても、家庭の中のことや自分自身の働き方のことなど、本音を話せるママ友はあまりいないという声を聞きます。

それには2つの理由があって、お互い話したいなと思ってはいても、お互い言い出せないということもあるのかも知れません。

 

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【同質の人の中にいることが多い】

 

一つ目は、私たちは日々の生活の中で、同じ考え方を持っている、または持っているだろう人たちの集まりに参加していることが多いからです。

 

まず社会人になってから、多くの人が多くの時間、企業に属して働いていると思います。

同じような会社にいる、いた人たちは、何となく似たような人たちだと思ってしまいませんか?

同じ業種や同じ部署、職種などでも、銀行の人は堅そうとか、接客業の人は人あたりが良さそうとか、システム会社にいる人はSNSが得意そうとか。

 

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※企業には、コーポレートアイデンティティ(CI)というものがあり、いわゆる企業文化、企業の独自性というのがあります。社風とも言います。

また、人事部では、どんな人がこの会社に貢献できる人なのかというモデルを作っていたりします。

そのため、この会社ではこれが正しいということが共有されていくので、同じ会社にいる人は似たような考え方になっていきます。

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同じ考え方の人たち、または同じ考え方だろうという人たちと一緒にいる時間は長いので、

私たちは同じ場所にいる人たちは、似たような考え方を持っているはずだと思ってしまっています。

 

しかし出産してから出会うママ友というのは、子どもの共通点でお友だちになることが多い。

子どもの生まれた日が近いとか、園や学校のPTAで一緒になったとか、子どものスイミングクラブで知り合ったとか、子どもにたまたま共通点があっただけ。

ただそれだけなんですが、ママ友でも似たような考え方を持っているはずだと思い込んでしまうんですね。

 

幼稚園ママがこんなことを言っていました。

「働く女性が増えたけど私は専業主婦でいたいと思って、専業主婦が多そうな幼稚園にしたんです。でも最近、働いているママが増えて、何だか肩身が狭いんですよね。」

 

幼稚園ママは専業主婦で、保育園ママは働いていると思ってしまいませんか?

実際には働き方はさまざまで、働くか働かないかという二択ではないのですが、

「みんな」から仲間外れになってしまうのが怖いので、【自分が思っている「みんな」と違うこと】はなかなか言えないというわけです。

 

地域での女性活躍支援のNPOを11年やっていますが、退会する時に 「私はみんなと違うので。」という方がいます。

20代~60代、お子さんがいない人もいればお子さんの年齢もばらばら、働き方やライフスタイルは本当にそれぞれなんですが、

「子育て中のママ」とか、もしかすると「女性」というだけで、「みんな同じ」と見えてしまう場合もあります。

 

特に家庭内のこと、夫がどれくらい家事を手伝ってくれているかとか、自分がどれくらい家事をしているか、というのは家庭によって全く違います。

でも夫のグチを冗談っぽく言えば、「うちも同じだよー」と返ってくるので、家庭内は「みんな同じはずだ」と感じてしまいやすいと思います。

 

しかしその「みんな同じ」は、母親ってこうなんだろうなと自分が勝手に想像している「母親像」「家庭像」です。

【でも「みんな」とは違うと自分が思っている家庭内のこと】は、ママ友には言えないということなんですね。

 

日々の生活の中でも、家庭内のことや自分ことをSNSに投稿すると「いいね!」がたくさんもらえます。

SNSの「友だち」から、そうだよね。私もだよ。というメッセージをもらえることに慣れてしまっている私たちは、考え方の違う人と接する機会がとても少ない。

そのため、自分が作り上げている「みんなと同じ」ということしか言えないというクセがついているんだと思います。

 

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両立キャリアスクール 田頭あやこ